ファインシャット極 溝方向による反射率の違いを調査

こんにちは。コプロ新製品担当の鉄平です。

 

弊社の超低反射ウレタンシート「ファインシャット極」、去年年末の発売開始以来、多くの光学設計者、研究者にご好評を頂いております。誠にありがとうございます。

 

さて、本日のブログでは、お客様よりファインシャット極に関して度々頂くお問い合わせ、「光学的異方性」についての調査結果をご連絡いたします。

ファインシャット極の異方性の理由

ファインシャット極には遮光線のような働きをする溝が一方向に成形されており、この凹凸の形状により正反射を抑制しております。そのため光源に対して溝が立ちはだかるような向き(弊社では溝に対して垂直方向と表現しております)になるよう、使用上の注意としてご提案させていただいております。

ファインシャット極 使用上の注意

溝に対して垂直方向に入り込んだ光は、溝の間で複数回反射して吸収されるのに対し、溝と同じ方向で照射される光は、溝の底面で一度反射した後、そのまま正反射として外に出てしまうということが予想されます。そういった理由から、光源と溝を垂直にするという配置を推奨しております。

 

しかしお客様の用途で、光源を一定方向に固定できず、溝と垂直に配置できないという事例がございました。そこで、溝に対して水平、垂直それぞれの方向で反射率がどのように変化するか調査をおこないました。

動画でみる反射率の変化

白いアクリル板の上に、溝方向を90°回転させたファインシャット極を左右それぞれに貼りました。シールに印字した矢印が溝の方向を表しております。また、反射率の比較になるように小さく切ったファインシャットSPも貼り付けました。

 

奥にLED光源を配置し、回転テーブルに載せて動画を撮影します。

お使いのディスプレイによっては分かりづらい画質となっておりますが、溝方向による明暗の差がうっすら区別できます。やはり奥の光源と溝方向が並行になるときに、わずかに反射率が高くなっていることがわかります。

全半球反射率の測定結果

次に反射率のデータで比較してみます。島津製作所の分光光度計「SolidSpec-3700DUV」を用いて、法線から入射角8°で全反射率を測定いたしました。

試料はファインシャットSP、そして、ファインシャット極の溝に垂直方向(弊社推奨)と水平方向の計3点を用意しました。下記グラフがその結果となります。

グラフから分かる通り、可視光域の短波長側、250~400nmの範囲で、溝に並行なファインシャット極の反射率が、溝と垂直のものと比較して高くなりました。やはり可視光域においては弊社推奨の通り、溝と垂直方向に光源を配置してお使い頂くのが良いかと思います。ただし、先程の動画でも分かる通り、溝の方向にかかわらずファインシャットSPよりも低い反射率は維持しております。

 

ちなみに1650nm以降の近赤外域では、溝と平行の方が全反射率が低いという結果となっておりますが、このことについては弊社でも理由は不明ですので、継続調査をお待ち下さい。

最後に

以上がファインシャット極の異方性の調査結果となっております。光源の方向が一定ではない用途をご検討されているお客様については、今回の報告をご参考にしていただき、使用の可否をご検討頂ければと思います。

 

今後もこのように、弊社製品を安心してご使用頂けますよう、お客様の用途に合わせた研究を行ってまいります。

今後とも弊社製品をよろしくお願いいたします。