反射防止素材の選び方

 弊社は数々の無反射黒色素材を開発し光の反射を解決するメーカーです。テレビなどで取り上げていただいた「黒色無双」塗料が有名ですが、他にも黒色無双より黒い布素材や、光学機器に最適なスポンジ素材など様々な製品がございます。本ページにてそれぞれどのような特徴があるのかご紹介させて頂きますので、お客様の用途に合った製品を選ぶ参考にして下さい。

材質による分類

 現在弊社が反射防止素材としてご提案しているのは、ウレタンスポンジのファインシャット、植毛布、水性塗料の黒色無双の3つです。主な用途として、ファインシャットは光学機器の内部部品。植毛布は撮影用背景や研究室の暗幕などの副資材。黒色無双塗料は試作開発などの一時的な反射防止処理に使用されております。

材質

ポリウレタンスポンジ

植毛布

水性塗料

製品

ファインシャットSP

ファインシャット極

ファインシャット極XX

無反射植毛布

近赤外吸収植毛布

特級暗黒布 太黒門

真・黒色無双
特徴

 

可視光から赤外まで安定した吸収性能。ダストも出にくく、水洗いも可能。光学機器内部の反射防止部品など、産業用途に最適。

ファインシャットより安価で、素材の厚みがある分光吸収性能も高い。無反射暗幕などの資材に最適。落毛による発塵リスク注意。

可視光域の反射防止に優れるが、塗膜は非常に弱い。
用途

カメラ、レンズなどの光学機器内部部品。

暗幕。撮影時の背景幕。

一時的な反射防止処理。ホビー用途。

製品間の見た目の黒さ比較

写真背景や模型など、アートやホビー用途で使用される素材をピックアップし、見た目の黒さを比較した動画です。それぞれの露出における黒さの見え方をご確認下さい。

 


可視光~近赤外域 全反射率の測定データ(実測値)

製品名

紫外

250nm

可視光

550nm

近赤外

950nm

近赤外

1500nm

(参考)黒マットアルマイト処理 6.7% 5.4% 75.4% 87.2%
ファインシャットSP 1.7% 1.2% 1.2% 1.4%
ファインシャット極 0.8% 0.7% 0.7% 0.7%
ファインシャット極XX 0.6%

0.5%

0.6% 0.6%
無反射植毛布 0.5%

0.3%

10.0% 43.7%
近赤外吸収植毛布 IR950 0.6%

0.4%

0.5%

4.3%

近赤外吸収植毛布 IR1500 0.3% 0.3% 0.3% 0.5%
特級暗黒布 太黒門 0.2% 0.1% 37.7%

19.0%

真・黒色無双(エアブラシ) 0.8% 0.6% 2.0% 10.7%
真・黒色無双(筆塗り) 1.3% 1.0% 3.5% 17.6%
光陽反射防止素材 全比較グラフ

 弊社は全反射率(AOI8°)という指標を使って、反射の少なさを評価しております。全反射率というのは拡散反射と正反射両方をあわせた計測結果です。AOI8°というのは、法線から8°の角度で光を入射させたという条件を表しています。

 

  まず、とにかく黒く見える商品をお探しの場合は、550nmでの全反射率の数字を参照下さい。550nmは黄緑色に相当する光の波長で、人間の目で最も感度の高い波長域です。弊社製品においてはこの数字がそのまま目で見た黒さの順序となります。弊社「特級暗黒布 太黒門」は0.1%と圧倒的な黒さを誇り、世界で最も黒い素材の一つと自負しております。また、世界一黒い塗料「真・黒色無双」は、筆塗りで1%、エアブラシのドライ吹き(砂吹き)で仕上げると0.6%と、塗装方法によって黒さの仕上がりが異なりますので、ご使用の際にはお気をつけください。

 

  次に産業用カメラの迷光対策用の資材をお探しの場合、ご使用になる光源に対応した波長域をご確認下さい。全反射率のグラフを見ていただきますと、「ファインシャットSP、極、極XX」は紫外から近赤外まで安定して高い光吸収性能をもっていることが分かります。この性能は表面の発泡層の凹凸構造と原料にカーボンを練り込んだ組成により実現しており、粉塵も少なく、厚みも0.2mm~と薄く、光学機器の内部部品用素材として最適です。

  また弊社の植毛布は、比較して安価な価格帯でありながら、非常に高い光吸収性能を持っております。安価で取り扱いの容易な「無反射植毛布」、産業用途でよく使われる900nm - 1500nmを含む近赤外で、最も光を吸収するよう開発された「近赤外吸収植毛布IR1500」、可視光域において弊社製品中最も黒い「特級暗黒布 太黒門」がございます。開発環境の無反射暗幕や写真背景資材としてお使い下さい。

 

中~遠赤外域 全反射率

 中~遠赤外線の反射防止に効果があると思われる、弊社素材の全反射率グラフです。ただし弊社に中~遠赤外域用途の知見が少ないため、参考程度にご確認下さい。

ダウンロード
中赤外全反射率と測定方法.pdf
PDFファイル 326.3 KB

サイズとハンドリング適正

製品名

最大サイズ

厚み

(mm)

 対接触

両面テープ

/粘着加工

ファインシャットSP

1000mm

x120m

0.22

0.40

有無

選択可

ファインシャット極

480mm

x280mm

0.37
無反射植毛布

950mm

x20m

0.9

有無

選択可

近赤外吸収植毛布 IR950

450mm

x400mm

0.65 
近赤外吸収植毛布 IR1500

950mm

x20m

0.8

有無

選択可

特級暗黒布 太黒門

1100mm

x22m

1.8

無し

真・黒色無双

塗料

0.05 X

 こちらでは各素材の最大サイズとハンドリング適正について説明しております。ファインシャットSPは原反1000mm幅でロールtoロール成形されておりますので、最大1000mm幅でのご提供が可能です。しかし、弊社の両面テープ貼り合わせ設備の規格都合により、500mm幅に半裁し保管をしております。1000mm幅をご注文の際は、約1ヶ月半のリードタイムをいただきますのでご容赦下さい。

  ファインシャット極は一枚ずつの製造品となりますので、480mm x 280mmが最大サイズです。また光吸収層が大変に裂けやすいため、強度確保の意味で必ず両面テープ付きでのご提供となります。

弊社標準採用の両面テープについて

 

製品名

厚み

(mm)

 特徴

標準テープDIC#8103Dクロ 0.15

弊社常時在庫品。不織布基材。

しなやかで曲面追従性も高く、短時間での糊残り少ないためリワーク性良好。

幅広い用途に使用できる。

薄型テープDIC#8616UJクロ

0.05

弊社常時在庫品。PET基材。

小型の光学部品作成の際、カット断面の粘着層の光沢が問題となることがあります。その場合は薄型テープがおすすめ。またファインシャットとともにヒートカッターでの裁断も可能です。離型フィルムが薄く、少し剥がしづらいので注意下さい。

トーヨーケムDF8370B

0.12

PET基材の厚手両面テープ。

21/3/30 メーカー廃番のため、社内在庫限りで終了。

ご注文の際はお問い合わせフォームにご連絡下さい。

 弊社で標準採用している両面テープをご紹介いたします。すべて遮光性に優れた黒色強粘着の両面テープです。ここに挙げている他にも、ご希望のテープを支給頂き、弊社で貼りつけて提供することもできます。

レーザーカット試作について

ファインシャット カット部品見本
無反射処理 精密QRコード

 弊社では小ロットや短納期の部品試作に対応するため、レーザー加工機によるカットサービスを行っております。納期は最短当日出荷も可能。

 加工費用の概算は、下記エクセルファイルをダウンロードの上、赤枠内に素材と部品外形寸法を記入頂ければ簡単に計算することが出来ます。ただし形状によって費用が変わりますので、正式お見積りは図面を頂いてからの回答となります。

ダウンロード
レーザーカット計算シートv20231207.xlsx
Microsoft Excel 18.2 KB

 レーザー加工の欠点として、端面周辺にわずかにススが付着いたしますが、その点はご容赦下さい。

 他にもレーザーと貼り付け作業を組み合わせ、無反射QRコード看板など、印刷の代替加工までできますので、何でもご相談下さい。

実績ギャラリー